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「八つ墓村」

野村芳太郎監督の「八つ墓村」を観た。
この映画には、印象的な場面が3つある。ひとつは、主人公の辰弥(萩原健一)の祖父である丑松(加藤嘉)が毒殺される冒頭の場面。もう一つは、渥美清演じる金田一耕助が、野外に佇んでいる後ろ姿。もう一つは、復讐を果たした落武者の亡霊達が、丘の上に佇み、燃えていく村を見下ろしている場面だ。

冒頭の毒殺シーンは、私の弟が、幼い頃にたまたま見てしまい、恐ろしすぎてトラウマになっていた。ヨボヨボのお爺さんが七転八倒し、床を転げ回り、泡を吹いて死んでいくシーンは、あまりにリアルで恐ろしすぎた。この老人を演じている俳優は他の映画でもよく見かけ、「八つ墓村の殺されるお爺さん」として認識していたが、加藤嘉という、様々な監督に必要とされていた名優だという事を、最近になって知った。(そしてなぜか急激にこの俳優さんにはまってしまい、現在私は加藤嘉ブームです。)

渥美清の後ろ姿のシーンは、以前観た時に、あまりに色気を感じてドッキリし、自分でも驚いたのだが、後に渥美清が亡くなった時、追悼番組で大江健三郎氏が「渥美清さんは本当に立ち姿が美しい方でしたね。もうエロティックと言えるくらい。」と語っているのを聞いて、ものすごく共感した。
寅さんを見ていてもあまり気付かなかったのに、どうして金田一耕助で?と不思議である。

最後の落武者達のシーンは、ただただ、かっこいい。この場面を見るために、この映画を観ると言っても過言ではありません。


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紙ひこうきを飛ばす小学生






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by nu913 | 2018-12-09 23:11 | 映画 | Comments(0)

「別れの曲」

ゲツァ・フォン・ボルヴァリー監督の「別れの曲」を観た。フレデリック・ショパンのある一時期を描いた伝記映画である。
ショパンの事など何も知らず、神経質で寡黙なイメージを持っていたので、この映画で描かれている、ポーランドの独立運動に熱意を燃やし、思い立ったらじっとしていられない熱いショパンの姿は意外だった。
ショパンがピアノを演奏する場面がたびたびあるが、1934年に公開されたという古い映画なので、音と俳優の演技がぴったりというわけではなく、どうしてもその俳優が弾いているようには見えない。
でも映画全体にとってあまり問題はない。むしろ大らかでいいなー、と思った。ショパンとリストが連弾する場面など、なんかかっこ良くて何度も観てしまった。
もう一つ大らかだと思ったのは、ショパンが作家のジョルジュ・サンドに一目惚れしてしまい、その後、男装したジョルジュ・サンドに別の場所で偶然会うが、まったく気付かないところ。髪型も化粧も同じ。ただ、ドレスでなくタキシード(だったか?)にシルクハットを被っただけなのに「あの紳士は〜」などと言っている。そういうところもいいと思った。
ショパンには尊敬している音楽教師のエルスナーという教授がいるが、この教授が良かった。この映画全体がこの教授目線で描かれているようにも思う。
熱意に駆られて部屋を飛び出して行ったショパンに呆れ、エルスナー教授が1人で叫ぶ、
「まったく近頃の若者ときたら!恋だ革命だと、私の若い頃とまったく変わってないじゃないか!」
という台詞が印象的。ニヤリとしてしまった。なんだかとても愛を感じたのだ。


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今日の小学生

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by nu913 | 2018-12-07 09:15 | 映画 | Comments(0)

「新幹線大爆破」

佐藤純彌監督の「新幹線大爆破」を観た。
「わあ!0系!」と、これに乗って何度も家族で京都に行った記憶が蘇り、ノスタルジックな気分になった。
しかし、この映画が提起している問題は、ノスタルジックなものではない。
科学技術が進歩して機械が手動でなくなり、人の手を離れて行き、やがて人が制御できない状態になる恐怖。
便利なはずのシステムが、逆に人間の首を絞める。
すべての出入口が電気仕掛けの自動ドアであるマンションなど、停電したらどうなるのだろう?といつも思う。
科学技術の恩恵をたっぷり受けて、それに沢山助けられて生きている私たちは、無論それらを全否定することなどできるわけがない。どのように折り合いをつけて生きていくのかを考えさせられる。

しかし、高倉健が犯人役だったとは意外だった。勝手に刑事、というか、犯人とは逆の立場にある者だと思っていた。
でも高倉健、犯人でも何故か応援したくなる。
佐藤純彌監督の作品は、以前「おろしや国酔夢譚」と「人間の証明」を観たが、両作品とも「大真面目」な印象だった。笑うところが一ヶ所もない。(「おろしや国〜」では、西田敏行の所作で少し笑いを誘うところがあったが。)
「新幹線大爆破」も、どんなに大真面目かと思ったが(そして大真面目だったが)、新幹線内で乗客達がパニックになり、いかにも大阪商人という感じのビジネスマンが大騒ぎしているシーンが、少しユーモラスだった。

ウルトラマンのハヤタ隊員役だった黒部進も、刑事役で出演していました。


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今日の小学生

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by nu913 | 2018-12-06 12:21 | 映画 | Comments(0)

「黒部の太陽」

熊井啓監督の「黒部の太陽」を観た。
実に、映画はいろいろな事を教えてくれる、と感じた映画だった。くろよんダムとは昔から名前は聞くが、このように多くの犠牲をはらってできたとは・・
黒部峡谷にダムを建設するにあたり、山奥の工事現場に資材を運び入れるためのトンネルを掘る人々の物語。
「山の恐ろしさ」と言うと、遭難事故とか雪崩とか、イコール「天候の恐ろしさ」の感じがするけれど、この映画で感じた山の恐ろしさは、「地中の恐ろしさ」。
考えてみれば、山の体に穴を開けて貫通させるなんて、山の神様も怒って当然、と思う。(山の神様のようなものを暗示する表現はありませんでしたが、勝手にこう思いました。)
自然の側からも、人間の側からも、公平にえがかれている感じがした。数々の苦難に立ち向かい、諦めず、ついにトンネルを貫通させる、大自然よりも絶対的に弱い人間達に感動した。しかし、どこかに虚しさが漂う。
この映画の三船敏郎は、珍しく自分の感情を抑えてじっと耐える無口なエリートの役。だが、地中に蓄積された雨水などがトンネル内で突然噴出するシーンで、水の重みでギシギシいう天井を素早く見上げ、声の限りに「全員退避ー!」と叫び、作業員を全員避難させた後、必死の形相で迫り来る水から逃げる場面は、三船敏郎の本領発揮!という感じがした。すごいシーンだった。


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ロボットを組み立てる小学生


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by nu913 | 2018-12-05 01:49 | 映画 | Comments(0)

「第三の男」

私の父は映画関係の仕事をしていたという事もあり、家にいる時にはいつも映画のビデオをかけていました。だからわが家の居間は、常に何かしらの映画が上映されている状態でした。
そういうわけで私は、一部だけ見たけれどちゃんと全部は観ていない、という映画がすごく多いです。
そういうものをちゃんと観てみたくなり、数年前から月に4〜5本、DVDで映画を観るようになりました。それらの感想を書いてみたいと思います。
(父が他界したのは1998年でしたので、それ以前の映画が多いです。たまに新しいのも観ます。)
自分の思い出なども含めた、ごくごく個人的で部分的な、偏った感想です。

昨日はキャロル・リード監督の「第三の男」を観ました。これに出演しているオーソン・ウェルズですが、子供の頃、コマーシャルに出ているのを見て、何かとてつもなく「大物」な人、という印象を持っていました。イメージで言うと、ノストラダムスの大予言のノストラダムスのような。(笑)
なので俳優と知った時には、え?そうなの?と、なんだかちょっと親近感を覚えました。
そのオーソン・ウェルズが実際に映画に出ているのを初めて見たのでした。
クライマックスの、下水溝での追撃シーンは緊張感あふれるものでしたが、傷を負ったオーソン・ウェルズが、下水溝から地上に出ようとして蓋を押し上げようとする場面、格子状の蓋の隙間から両手の指が突き出しているのを地上から撮っている場面を見て、あっ、このシーン見覚えがある!と思いました。これは「第三の男」だったんだ、と繋がりました。そういうのは何だか嬉しいです。
それと、アパートの管理人の役の人、なんだか気になる(興味をひかれる)と思って後で調べてみたら、以前に観たエリック・シャレル監督の「會議は踊る」で歌手を演じた俳優とわかり、びっくりしました。その歌手もすごく気になったので・・気になる人は気になるんだなぁ・・
同じ俳優に違う映画で再会すると、知り合いのように親しみを持ったりするものですね。
ちなみに、キャロウェイ少佐という人物を演じたトレヴァー・ハワードという俳優は、どうも見覚えがあると思ったら、ヴィスコンティ監督の「ルートヴィヒ」でワーグナーを演じておりました。これは意外でした。

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水をやる小学生



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by nu913 | 2018-12-01 14:47 | 映画 | Comments(0)