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「黒部の太陽」

熊井啓監督の「黒部の太陽」を観た。
実に、映画はいろいろな事を教えてくれる、と感じた映画だった。くろよんダムとは昔から名前は聞くが、このように多くの犠牲をはらってできたとは・・
黒部峡谷にダムを建設するにあたり、山奥の工事現場に資材を運び入れるためのトンネルを掘る人々の物語。
「山の恐ろしさ」と言うと、遭難事故とか雪崩とか、イコール「天候の恐ろしさ」の感じがするけれど、この映画で感じた山の恐ろしさは、「地中の恐ろしさ」。
考えてみれば、山の体に穴を開けて貫通させるなんて、山の神様も怒って当然、と思う。(山の神様のようなものを暗示する表現はありませんでしたが、勝手にこう思いました。)
自然の側からも、人間の側からも、公平にえがかれている感じがした。数々の苦難に立ち向かい、諦めず、ついにトンネルを貫通させる、大自然よりも絶対的に弱い人間達に感動した。しかし、どこかに虚しさが漂う。
この映画の三船敏郎は、珍しく自分の感情を抑えてじっと耐える無口なエリートの役。だが、地中に蓄積された雨水などがトンネル内で突然噴出するシーンで、水の重みでギシギシいう天井を素早く見上げ、声の限りに「全員退避ー!」と叫び、作業員を全員避難させた後、必死の形相で迫り来る水から逃げる場面は、三船敏郎の本領発揮!という感じがした。すごいシーンだった。


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ロボットを組み立てる小学生


by nu913 | 2018-12-05 01:49 | 映画 | Comments(0)